ヘロドトス「歴史」を自分なりの解釈で読みといた記事です。
いつの間にか「歴史」の記事が当サイトでも人気のある記事となりました。
今回は王にそそのかされたギュゲス氏の、その後のお話です。
本書の魅力を伝える事で、皆様がヘロドトス「歴史」を手に取るきっかけになれば幸いです。
今回は第1巻11頁〜14頁までを読み解いていきます。今から2500年前に記録された物語や伝承をお楽しみください。
十一頁 ギュゲス氏、妃に選択を迫られる
こうして妃は、この時は何もなかったかのようにおとなしくしていたが、夜が明けると自分に最も忠実な家来たちに身支度をさせてギュゲスを呼び寄せた。
ギュゲスは、妃が昨夜の出来事の事を知っているとは思いもせず、呼ばれるままに王妃の元へ行った。ギュゲスがやってくると妃は次のように言った
妃「ギュゲスよ、あなたには進むべき道が2つあるが、そのどちらを選ぶかはあなたに任せます。
①カンダウレス王を殺して、私とリュディア王国を自分のものにする
②この場ですぐあなたが死ぬ。ーこの後もカンダウレス王のいいなりになって、見てはならぬものを見るようなことのないように
このような事を企んだ、カンダウレス王か私の肌を見て許されぬ事をしたあなたのどちらかが死なねばならない。」
ギュゲスはそのような選択を無理強いしないでくれと懇願したが(八頁でもみた光景です)その願いは通らなかった。
王と殺害するか?自分が死ぬか?の選択が逃れられぬ運命だと知り、ギュゲスは自分が生きながらえる道を選んだ。
妃「王が眠っている時、あなたが私を覗いた場所から襲ったらいいじゃない」
一二頁 ギュゲス決心する
このような企みを打ち合わせた後、ギュゲスは日が暮れるのを待って妃が言ったように寝室へ忍び込んだ。
妃はギュゲスに短剣を渡して、前と同じ場所に隠れさせた。そしてカンダレウス王が寝たのを見計らい王を殺害した。
そうしてギュゲスは妃と王国を我が物とした。
一三頁 ギュゲス一味 VS リュディア国民
カンダレウス王の殺害に激怒して武装蜂起が起こったが、反乱者であるギュゲス側とその他リュディア人において話し合いが行われた。
もし神託がギュゲスをリュディア王と認めたならギュゲスが王となる、逆にそうでなければ主権をヘラクレス家(故カンダレウス王はヘラクレス家)に返還する事で意見は一致した。
その神託の結果はギュゲスを王と認めるものであった。
こうしてギュゲスは王位を手中にしたが、その地位はデルポイの神託(アポロン神殿の女神官による託宣)によってより確かなものとなった。
ただしデルポイの巫女はギュゲスの5代目の子孫にヘラクレス家の報復があるだろうと付け足していたのだが、リュディア国民も歴代の王も、このお告げが実現するまでは気にも留めなかったのです。
デルポイの神託 ウィキペディアより
デルポイはギリシア最古の神託所の一つである。デルポイの神託はすでにギリシア神話の中にも登場し、人々の運命を左右する役割を演じる。デルポイの神託が登場する神話には、オイディプース伝説がある。神殿入口には、神託を聞きに来た者に対する3つの格言が刻まれていたとされる[1][2]。
- γνῶθι σεαυτόν(gnōthi seauton) - 「汝自身を知れ」
- μηδὲν ἄγαν(mēden agan) - 「過剰の中の無」(過ぎたるは及ばざるがごとし、多くを求めるな)
- ἐγγύα πάρα δ᾽ ἄτη(engua para d' atē) - 「誓約と破滅は紙一重」(無理な誓いはするな)
神がかりになったデルポイの巫女(ピューティアーやシビュッラ)によって謎めいた詩の形で告げられるその託宣は、神意として古代ギリシアの人々に尊重され、ポリスの政策決定にも影響を与えた。また時には賄賂を使って、デルポイの神託を左右する一種の情報戦もあったといわれる。デルポイに献納する便のために、ギリシアの各都市はデルポイに宝庫を築いた。こうしたことから、デルポイは国際会議場の役割を果たしたとも考えられる。
十四頁 ありがとうデルポイ神託 ギュゲス王は貢ぎまくる
このようにして、メルムナス家(現ギュゲス王)はヘラクレス家(前カンダレウス王)から王位を奪い取った。
ギュゲス王は王位に即いたのち、デルポイへおぼただしい量の奉納物を献納した。
デルポイにある銀製品の半分はギュゲスからの献納品である。ギュゲス王は金製品も多く奉納したが、中でも六個に上る黄金製混酒器は特筆すべきものであった。
ギュゲスは我々の知る限りでは、デルポイへ奉納品を献じたのはプリュギア王ミダス以来初めての異邦人でした。
プリュギア王も自分の王座をデルポイへ奉納したが、この王座は先程の黄金製混酒器と同じ場所に納めてあります。
ミダス
「王様の耳はロバの耳」に出てくる王様として有名です。
みなさまいかがだったでしょうか?2500年前の歴史書なのですが、なんだか現代のワイドショーを見ている感覚になります。
次回の更新をお待ちください。