ヘロドトス「歴史」を自分なりの解釈で読みといた記事です。この作品は今からおおよそ2500年前に著された歴史書であり、この功績からヘロドトスは「歴史の父」と呼ばれています。
本書の魅力を伝える事で、皆様がヘロドトス「歴史」を手に取るきっかけになれば幸いです。今回は第1巻216頁の1頁〜5頁までを読み解いていきます。今から2500年前に記録された物語や伝承をお楽しみください。
注意点
個人が読み解いての意訳となります、誤訳や誤解などがありましたらご容赦ください。
序
この本「歴史」は、私ヘロドトスが
ギリシア人と異邦人との間の事件が、時の移り変わりとともに忘れ去られる事を恐れ
自ら研究調査し書き述べたものです。
一頁 ギリシア「イオ王女」誘拐事件
ペルシアの学者の説
争いの原因となったのはフェニキア人であった。
フェニキア人は紅海から地中海地方に来て、ギリシア地域でも最も強大な国アルゴスで積荷を売り捌いていた。
商品を5日から6日で大方売り尽くした頃に、アルゴスの王女イオを含めた大勢の女性が買い物に来たが、フェニキア人は互いに示し合わせ女性に襲いかかった。
多くの女性は逃げる事が出来たが、王女イオは捕らえられエジプトに連れ去られてしまった。
二頁 復讐の連鎖
ペルシャ側ではこのような言い伝えで王女イオがエジプトに行った事になっていたが、この事件がきっかけとなって数々の暴挙が始まった。
この事件の後、今度はギリシア人と思われる人物がフェニキアのテュロスに侵入し、王女エウロペを誘拐したというのである。
これでお互い様という事であったが、ギリシア側はさらにコルキス地方の王女メディアまでも誘拐した。
コルキスの王はギリシアへ使者を遣わし、この誘拐に対する補償と王女メディアの返還を要求。
しかしギリシア側は、「前回のイオ王女誘拐の事件の補償をあなた達はしなかった、だから私たちも補償はしない」と返答した。
三頁 アレクサンドロス「俺も妻にする女性をギリシアから誘拐してくる」
その次の世代のアレクサンドロス(ギリシア神話の英雄:パリス)は、これまでの話を聞いて
「ギリシア人が補償しなかったから、自分が同じ事をしても補償しなくてもいいだろう」と考え、自分の奥さんをギリシアから誘拐しようと計画したのだとペルシア人は伝えています。
こうしてアレクサンドロスは絶世の美女ヘレネを誘拐した。
それに対しギリシア側は使者を送り、ヘレネの返還と掠奪に対しての賠償金を請求。
それに対してアレクサンドロスは二節で記したメディア王女誘拐事件を盾にして
「ギリシアはあの時補償もしないし王女も返さなかったのに、自分たちは補償を得ようとしている」と逆にギリシア側を責めた。
四頁 ペルシア人の考え
ここまでは、ペルシア人もギリシア人もお互いに掠奪をしているだけという認識だったが
これ以後はペルシア人は、ギリシア人側に大いに罪があるという認識になった。
といのもペルシア人がヨーロッパへ侵攻する前に、ギリシア人が報復のためアジアに侵攻してプリアモス国を亡ぼしたからである。
ペルシア人は、女を掠奪する事は悪人の所業ではあるが、その事に対して本気で報復しようとする事は愚か者のする事であり、女もその気がなければ掠奪されるはずもなく、奪われた女の事は全く顧みないことが賢明な態度であると考えていた。
ペルシア人の言い分では、自分達は掠奪された女の事は問題にしていないのに、ギリシア人は自国の女の為にアジアに侵攻してプリアモスの国を亡ぼしてしまった、それ以降ギリシアは自分たちの敵であると考えている。
補足:ペルシア人は、アジアとそこに住むギリシア人でない民族を自分に所属していると考えていて、ヨーロッパ人やギリシア人とは別であると考えている。
五頁 「イオ王女」誘拐事件の真相?
事の経過は今記述した通りであるが、さらにイリオス(トロイア:トロイの木馬で有名)の攻略が原因となり、ペルシア人のギリシア人に対する敵意は生まれたと見ている。
一方、イオ王女誘拐事件についてだが、フェニキアで言い伝えられている事はそれまでの話とは違う。
つまり、フェニキア人はイオを掠奪してエジプトへ連れ去ったのではなく、イオ王女はアルゴスで例の船の船長と関係を結んでいたのだという。
イオ王女は自分が妊娠したのを知ると、それがバレない様に自ら進んでフェニキア人と同船し出奔したのである。
私はこれらの事件について、どちらが正しいかを論ずるつもりはありません。
私はただ、ギリシアに対する悪行の口火を切った人物の名をここに挙げ、人々が住む国々について記述し話を進めていきたいと思っています。
かつては強大であった国の多くが今は弱小国になり、私が生きている時代に強大である国もかつては弱小国であったからです。
人間の幸運も決して安定したものでない事を私は知っています、なので大国も小国も等しく取り上げて記述していきたいと思っています。
続きはコチラから【歴史】ヘロドトス「歴史」を読み解く 上巻6頁から10頁
ヘロドトス「歴史」を自分なりの解釈で読みといた記事です。 この「歴史」を読む上で特に苦労するのが地名および人名の多さです。たとえば原文を見てみると ーカンダウレスという人物は、ギリシアではミュルシロスの名で呼ばれているが、アルカイオスの子ベロスの子ニノスを父とするアグロンが、ヘラクレス家の一統でサルディスの王となった最初の人物であるが、ミュルソロスの子カンダウレスはその最後の王であったー こうなっ ...
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