前回福本先生の言葉を紹介したところ多くの方から反響があり、とても嬉しく思います。
自分自身が今の社会に感じていた閉塞感を、多くの人も感じていた事を知りなぜか安心感もありました。
今回は人の心に関係する言葉を集めてみましたので、お時間がある方はお付き合いください。
人間の負の部分に触れる内容です。福本先生の作品は、時に躊躇する事なく現実を突きつけてきます
笑顔をずっと失わないためにも甘い話には気をつけましょう。
福本作品に登場する示唆の言葉①
ここぞという時・・・
そんな急所
悪魔はみな優しいのだっ・・・!
何故それに気が付かない・・・?
ポイント
発言者:工藤涯
主人公涯は、無実の罪で逮捕され他の少年達と共に矯正収容所に入れられる。看守の指導という名の拷問と度重なる人間性の否定により少年達は徐々に衰弱をしていく。疲弊と精神が限界に近づいた時に、看守は優しい言葉で少年達に声をかけ、少年達が感動し涙する場面で主人公涯は独白する。
人は苦しい時には心が弱くなりがちです。
閉ざされた空間で高圧的に威嚇し人格を否定した後、優しい言葉をかけ人の心をゆさぶる手法は悪質な勧誘やセミナーで今でも行われている事です。
他人を利用しようと考えている人間は、このような手段で弱った人間を自分の味方に引き摺り込もうとします。
「あなたのためを思って」と優しく声をかけてくる人がいたら、本当に私自身の為なのか冷静に考えてください。
その甘言を受け入れなかった時
あなたを服従させようと考えていた人間は、あなたの元を去っていくでしょう。
あなたの事を本当に思っている人は、かわらず寄り添ってくれるはずです。
福本作品に登場する示唆の言葉②
「安全」であることの愉悦・・・・!
ポイント
発言者:利根川幸雄
主人公カイジらは、高層ビルに架けられた橋を渡り切れたら大金が手に入る命懸けのゲームに挑戦をしている。そんな中、VIPルームでは資産家達が食事をしながらショーとしてそれらを愉しんでいる。そのような状況で主催者側から言い放たれた言葉。
「他人の不幸は蜜の味」「他人の幸せは飯がまずい」という言葉があります。
残念ながらこの様な感情は、人間の性ともいうべきもので切り離すことは難しいのかもしれません。
(ペットも嫉妬したりするみたいです、なので生物の性とも言えるかもしれません)
ハーバード大学のエルゾ・ラットマー教授が発表した論文(相対的な収益と幸福)に「隣人達の収入があがることは、自分の収入が減ることと同じ程度の不幸をもたらす」という一節があるようですが、隣人の収入は自分たちに関係ない事は分かっているのに思わず「ギクリ」としてしまいます。
現代社会において、そういった他人の不幸を飯の種にしているメディアも少なからずあり、負の感情を振りまいています。
私たちはその様なものに惑わされず、他人への誹謗中傷より自分の幸せを追求していった方が、幸せになれるのかもしれませんね。
自分が安全な立場にいるからと他人を見下し愉悦を感じている人は注意してください。自分が逆の立場になった時、その虚栄心は何倍にもなって自分に返って来ますよ。
「よそはよそ、うちはうち」という言葉は案外理にかなっていたのかも・・・
福本作品に登場する示唆の言葉③
いい事・・・!
正しい事をしてるって肚(はら)なら・・・
話は別っ・・・!
残忍になれるっ・・・!
存分に・・・!
ポイント
発言者:黒沢
暴走族に嫌がらせをされている、ホームレス達を守る主人公黒沢。暴走族に許しを請えば辞めるのではないか?と提案をした仲間に語りかける場面。
近年、コロナが世界に暗い影を落とし様々な形でヘイトクライムのニュースを見聞きします。
(ヘイトクライム(英: hate crime、憎悪犯罪[1])とは、人種、民族、宗教、性的指向などに係る、特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる、嫌がらせ、脅迫、暴行等の犯罪行為を指す ウィキペディアより)
歴史を振り返ってみても、正義の名の下に幾度となく残虐な行為が繰り返されています。
残念ながらその行為はいまだに根絶出来ていません、それはヘイトクライムを行ったものにとってそれは「正義の行動」だからです。
最初の言葉に戻りますが「自分が正しい事をしているからと思っているから、他者に対して残忍になれる」このような事は普段の社会においても「ソーシャルメディアを通じた誹謗中傷」「リストラ」「自己責任」という言葉で散見されます。
人類が平和に暮らせる様に、先人達は知性や理性を通じて多くのものを積み上げてきました。しかしそのような人を人たらしめるものが近年急速に退化しているように感じるのは私だけでしょうか?