とつ先生ファンに向けて先行公開中
画像は用意中です。
絶対絶命のとつ先生
「ガシャーン!!」
我が家のリビングから何かが崩れた大きな音がした。
私は瞬時に、今日はとつ先生が麻雀をすると言い張り切っていたことを思い出した。
「とつ先生!!」
胸が締め付けられるような感覚・・・、嫌な予感がする。
私は慌ててリビングに駆けつけ中を覗き込む
写真:麻雀牌の中に倒れ込むとつ先生
「とつ先生!!」
麻雀牌の中に埋もれている先生はピクリとも動かず
ピンク色をしたこぶたが「ブェッブエッ」と不気味に鳴いている
とつ先生の目は虚でどこか遠くを見つめていた・・・
こぶたあざらし
遡る事2時間前。
ぼっちで有名なとつ先生は、珍しく友達を連れてきた。
「管理人君、紹介するよ”こぶたあざらし君”だ」
とつ先生の隣には「にこにこと笑っている子豚(コブタ)」が1匹いて、嬉しそうに話してくる。
「今日はとつ先生が”まーじゃん”を教えてくれるんだ」
どうやらとつ先生は「まーじゃん」を覚えたらしく、さっそく道端を歩いていたコブタを呼んで家に誘ったようなのだ。
だが、これが悲劇の始まりだったのである。
動物まーじゃん
とつ先生は、まーじゃんをコブタに教え終わりさっそく試合をしていた。
まーじゃん牌は高く積み上げられ、崩れる寸前。
「さあ、つぎはこぶたあざらし君の番だ。まずは牌を引く、そしてそこに出た数字の分だけ牌を上に積み上げるんだ」
画像:動物まーじゃんのやり方
コブタは緊張した面持ちで、自分の引いた牌を積み重ねる。
グラッ・・・ガシャーン
震える手で置いた牌はバランスを欠き、雪崩のように崩れ落ちた。
「ロン!!」
とつ先生が大声で叫び、こぶたあざらしは「ブェー」と鳴き声を上げる。
得意満面のとつ先生は「裏ドラ楽しみだなぁ」と言いながら、牌を手当たり次第にめくっていく。
「やった数字の7萬だ!!ラッキーセブンだからにぼし7本にチョコ3個だ!!」
そう言いながら勝手にコブタのお菓子袋に手を突っ込み、点棒(お菓子)の支払いを済ませていた。
「とつ先生は強いなぁ。どうしたらそんなに強くなれるの?」
その言葉を聞いた”とつ先生”は満面の笑みを浮かべる。
「いやぁ、たまたまだよ」
謙遜しながらも嬉しさを隠しきれないとつ先生。
いそいそと私に、やきとり(やまとり?)と書かれた「鳥のプレート」を渡してくる。
「焼き鳥を10本ください」
とつ先生はまるで私が焼き鳥屋さんかのように自然に言ってきた。
私は焼き鳥屋さんではないのだが、そのキラキラした目を見て断りの言葉を飲み込む。
やっぱりとつ先生が可愛くて仕方ないのである。
塩とタレの焼き鳥のどちらかで迷っていたが結局半々オーダーする、そしてコブタに更なる勝負を持ちかけた。
「よし倍プッシュ、次は10倍レートだ!!」
イカサマ
とつ先生がルールを決めた”動物まーじゃん”は、イカサマ含みであり決して自分が負けないまーじゃんであった。
冬になり野良猫監視の仕事が辛くなってきたとつ先生は、こたつでぬくぬくしながら過ごしたい怠け心から必死に考え出したのだ。
「豆苗を4回以上使い回し利益をあげている」らしい今日の上客”こぶたあざらし”、そこに聡いとつ先生は目をつけたのであった。
楽しくまーじゃんをしながら、儲けている子豚から少しばかりお菓子を頂戴する・・・
それはとつ先生にとって、動物同士が共存する「動物農場」とも言うべき理想郷であった。
10倍レートまーじゃんの試合も佳境
まーじゃん牌は高く積み上げられ崩れる寸前であった。
とつ先生のツモ番。コブタが自分の牌をとつ先生の牌の中に混ぜてしまうハプニングがあったが先生は笑って許してあげた。
なぜなら次に自分が引くのは「1の丸」で1個だけ牌を塔の上に置けば良いとわかっていたからだ。
「!?」
鼻歌混じりのとつ先生の手が止まる、青ざめた顔でとつ先生は自分の手に握られた牌を見た。
そこに書かれていたのは「スネオ」
すなわち「ホ・ネ・カ・ワ・ス・ネ・オ・ア・ザ・ラ・シ」で11牌を塔に置かなければならない地雷牌なのだ。
(すり替えられた!?)
まさかの卑劣なイカサマに、とつ先生の正義の炎は燃えたぎっていた。
とつ先生は日頃から平等主義をモットーとしており「イカサマを決して許さない正義の心」を持った東京あざらしである事は、賢明な読者の皆様は知っての通りだろう。
「・・・インチキこぶたあざらしぃ!!」
とつ先生はコブタに向かって叫ぶ。
インチキコブタアザラシと呼ばれたコブタは「ヒエッヒエッ」と息を吸いながら変な声で笑っている。
(負けられない・・・)
とつ先生は珍しく本気モードになった、チーやポンを巧みに使い一個一個慎重に牌を置いていく。
焼き鳥のいい香りが漂ってきた・・・
長い時間をかけてとつ先生は最後の一牌を乗せようとしていた。
「ツモ!!」
インチキコブタアザラシはそう言いながらとつ先生の背中を押す!!
「ガシャーン!!」
まーじゃん牌は大きな音をたてて崩れる。
大量の牌がとつ先生に降り注ぐ、音を聞いた管理人が焼き鳥を手に持ち部屋に入ってくる。
インチキコブタアザラシは裏ドラを引きこう宣言した。
「同志諸君、漢字の東南西北が出たからには煮干し100本とあざらしによる風車造りが決定しましたぞ。」
多大な借金(煮干し)&真冬の風車造りの労苦を背負ったとつ先生はダウン寸前であった。
反撃
それにも関わらずインチキコブタアザラシは、まーじゃんを進めていた。
「ふふっ、またまた引いた牌は数字の1か、幸先がいいですぞ」
豚は余裕の笑みを浮かべて1牌をそびえたつまーじゃん牌の塔に置く。
いや、置こうとした瞬間であった。とつ先生の玄人技が飛び出す。
「カン!!」
とつ先生は、インチキコブタアザラシに頭から突っ込みながら叫ぶ。
ガシャーン!!
その反動でインチキコブタアザラシはまーじゃんの塔に突っ込む。
先生は目を閉じ、思い出すようにゆっくりと役名を読み上げる。
「リンシャンカイホウ、チャンタ、タンヤオ、チートイツ、そして国士無双(コクシムソウ)・・・」
「10万点の一本場は100万点です。ポン!!」
とつ先生は知っている役の名前をすべて読み上げ、何故か最後に「ポン」と大きな声で言った。
そして裏ドラをめくり、東(トン)が3枚出た所で止まる。
「トントントン(東東東)、みなさん静粛に・・・」
「判決を下す。インチキコブタアザラシモドキはチャーシューの刑とする」
その後も色々ありましたが、結局二人は録画しておいた「逃走中」を観ながら仲良く焼き鳥とペヤング焼きそば大盛りを食べていました。
「私もハンターとして出て、見事に逃げ切ったんだ」と、とつ先生は昔を懐かしむように言っていました。
とつ先生が言っていたことは本当かどうかわかりませんが、そうしてまた平和な日常が戻りました。
とつ先生は「かしこさが1あがった」と嬉しそうに言っている。