この記事は5分で読めます。大人気「東京あざらし物語」の話です。
次にような方に、おすすめの記事です。
- とつ先生の大ファンである。
- カオスな世界観だが、ハッピーエンドで明るい気持ちになれる話を読みたい。
- 東京あざらし物語を読む為にsirumiruに来ている。
とつ先生が野良猫鼠先輩と死闘を繰り広げた時の話です。
とつ先生は果たして無事に生還できるのでしょうか?
とつ先生と子猫あざらし
とつ先生は、いつものように鼻歌を歌いながら東久留米市六仙公園を散歩していた。
「にゃ・・・にゃ・・・」
妙な鳴き声がしたので、ふと目をやると大きな煮干しをくわえ、大変そうに歩く子猫がいた。
「そんな大きな煮干しをくわえてどうしたいんだい?」
ノラネコ監視を生業としているとつ先生は、そう優しく声をかけた。
どうも話を聞くと、仲間の先輩猫が食べるために煮干しを運んでいるようなのだ。
その先輩猫の名前を聞いたとつ先生は驚愕した
「野良猫鼠!!」
とつ先生の表情がキュッと引き締まる。
私はとつ先生の過去を知るべく「野良猫鼠」について聞いてみた。
どうやら野良猫鼠とやらは、とつ先生とは因縁があるらしい。
いつものノラネコ監視の仕事の時には
とつ先生のお弁当の煮干しを勝手に食べたり
猫同士で組体操をして正確な猫のカウント数を分からなくさせたり
散々とつ先生を困らせていたようなのだ。
昔はレベルも低く野良猫鼠のイタズラに対応出来なかったとつ先生であったが
ここ数ヶ月で、はぐれメタルを倒し「かしこさ」が2も上がり
クッピーラムネ軍団との死闘を通じて、勇者として大きく成長しているとの自負があった。
野良猫鼠との決闘の話を聞いた子猫は、とつ先生に危ないからやめるよう「にゃーにゃー」鳴く。
とつ先生は子猫に言う「大丈夫だ子猫あざらし君、見ててごらん」
そして柵の上で仲良くお話をしているスズメに向かって叫ぶ!!
「メラ!!」
大きな声にスズメたちは慌てて逃げ出す。
それを見て満足そうなとつ先生は、腰を抜かした子猫に伝える。
「野良猫鼠に伝えてくれるかい、明日この場所で決着をつけよう。と」
とつ先生と野良猫鼠
とつ先生の記憶では、野良猫鼠はその一帯の野良猫を率いているリーダー的な存在であった。
背の大きさはとつ先生と同じ位だが、「野良猫鼠」という名前がついている通り
体は小さいが活発で、ネズミのようにすばしっこい猫だった。
「とつ先生・・・、大丈夫ですか?」
私は心配になり声をかける。
「ダイジョウブ、ダイジョ・・・ガツガツ・・・」
ご飯を食べているとつ先生は目の前のカツ丼に夢中だった。
「仮にも相手は凶暴そうな野良猫ですよ、とつ先生が心配で・・・」
その言葉を聞きとつ先生は、自分の寝床からあるものを取り出して見せてくれた。
それはどこかで拾ってきた兜と、自作した煮干しの剣&鍋のフタであり
それを装備したとつ先生は、まるで勇者そのものであった為に私は言葉を失った。
それより、カツ丼がよっぽど美味しかったのか
とつ先生はご飯のおかわりをしようとしていた。
「すみません、もうご飯無くなっちゃって・・・」
私がそう言うととつ先生は一瞬残念そうな顔をしたが
「大丈夫、健康のために腹八分だよ。」と優しく微笑んでくれた。
「さぁ、そろそろ寝るか。」
そう言いながらとつ先生は、私のカツ丼を自分のお皿にいそいそと移し替えて、人のカツ丼もペロリと平らげた。
とつ先生は、お腹がいっぱいになったのか寝床に向かう。
そして、ふかふかの寝床で口をモゴモゴさせながら幸せそうに寝息を立て始めたのであった。
とつ先生と激辛ラーメン
翌日、東久留米市六仙公園には噂を聞いた多くのギャラリーが詰めかけていた。
とつ先生はピクニックと勘違いしているのか、マットを敷いてのり弁当を食べている。
にわかに子猫たちが整列している場所がざわつき始めた。
奥から大きな影がゆっくりと近づいてくる
「ニ”ャオォーンに”ゃぁオ〜ぉン」
ニャンちゅうのような声と、その異様な姿に私は固まる
(な・・・なんだあれは?どうみても普通じゃない!!)
口にくわえていた煮干しが落ちてしまった野良猫鼠は
誰にも奪われないように左足で煮干しを踏みつつ、周りをキョロキョロしている。
「とつはどこだ!?出てこい!!」
自分に勝負を挑んできたとつ先生を、鬼の形相で探していた。
だが、のり弁当を手に持ったままの「とつ先生」は微動だにしなかった。
私はふと、とつ先生と激辛ラーメンを食べた時の記憶を思い出していた。
YOUTUBEでみた動画に触発され、とつ先生は調子に乗りコンビニで大量の激辛ラーメンを買ってきた事があった。
とつ先生は「楽勝だよ」と言いながらラーメンをすするが、一口目で気管に激辛スープが入りむせてしまった。
1分ほど咳をしていたがどうやら収まったようで、「スン・・・スン・・・」と泣きながら2口目を口に入れたのだがどうも様子がおかしい。
二人で飲もうと買ってきた飲むヨーグルト1リットルを全部飲み干し
「君は辛いものが好きだろう?お世話になっているから僕の分もあげるよ」
そう言って、まだ自分のラーメンすら一口も食べていない私に自分のカップ麺を押し付けクッピーアイスを食べ始めたのだった。
その時、とつ先生は汗を大量に流しプルプルと震えていた。
そして、今のとつ先生もその時と全く同じであった。
とつ先生、心の歌
僕は今日何しに来たんだっけ?
よく思い出せない
いや、たしか・・・
そう、ノラネコネズミ?
うん、野良猫鼠と対決に来たんだ。
あれ?でも目の前にいる大きな動物はナニ?
大きなネコ?いや違う・・
あっ・・・!!
えっ、ライオン!? とつを
らいおん
「ライオンだ!!逃げろ」
野良猫鼠の姿をみて勘違いしたとつ先生は急にそう叫んだ。
そして、もう死んだふりをしている。
するとどうだろう、とつ先生の「ライオンだ」の声は瞬く間に動揺の輪を広げ、周りのギャラリーは散り散りになり逃げ出した。
「ライオン」がまさか自分を指しているとは夢にも思わない野良猫鼠も、百獣の王「ライオン」の名を聞きオロオロし始める。
そしてついには、ギャラリーと一緒に逃げ出してしまったのだ。
公園には、死んだふりをしているとつ先生と私。
そして勇敢な闘いぶりに感動し「にゃーにゃー」鳴いている
子猫あざらしだけが取り残されたのでした。
雷音打
かつて、伝説のあざらしが使ったとされる幻の技。
雷音打(ライ・オン・ダ)と発音し、まるで雷の音が敵を撃つかのような威力がある。
あまりの威力のため、紀元前1115年に、有名な武闘家「都津参」が封印をした。
現代の動物園にいるライオンも、ここから名付けられたという逸話もある。
コマンド:←→←→+パンチボタン連打
すんすん書房310ページより抜粋